単身赴任の準備とお金
夫の単身赴任手当はいくら?相場と課税、二重生活の出費はどこまで埋まる決まり方と税金、家計から出る額の見積もり方

先に結論
単身赴任手当の額と条件は夫の会社の規程で決まり、給与として課税されます。家賃補助や帰省費と合わせた合計で家計を見積もります。
- 手当の額と条件は会社の規程で決まり、公務員は距離に応じた加算がつきます
- 手当は課税されるので、家計の計算は給与明細の手取りの差で見ます
- 帰省費が非課税になるのは、出張のついでに帰る場合の旅費に限られます
夫の単身赴任が決まると、会社の説明は夫にだけ届きます。「手当はいくら?」と聞いても、はっきりした答えが返ってこないこともあるでしょう。
単身赴任手当の決まり方と税金、手当で二重生活の出費がどこまで埋まるかを、夫に確かめてもらう項目と一緒にまとめました。法令と制度は2026年10月時点の内容です。
夫の単身赴任手当はいくら?額は会社の規程で決まる
この章の答え
会社ごとに決まるのは、労働基準法に単身赴任手当を払う義務の定めがなく、各社が独自に設けている手当だからです。名前も会社ごとに違います。「別居手当」など、別の名前で載っていることもあります。
民間企業は会社ごとに差が大きい(平均額で比べない理由)
この記事では、平均額や相場の数字を載せていません。会社によっては手当とは別に家賃補助や社宅、帰省の交通費を出していて、何を単身赴任手当に含めるかが会社ごとに違うからです。単身赴任手当の額だけを並べた平均は、わが家の家計を見積もる目安になりにくい数字です。
手当の額だけで多い・少ないを決めず、会社から出るものの合計で見るのが確実といえます。
たとえば、社宅と帰省費は出るが手当は小さめの会社と、手当は大きめでも家賃を全額自分で払う会社があります。家計から出る額に近いのは、手当単体の額より合計の額のほうでしょう。わが家の額は、後の章の7項目を夫に聞くと分かります。
公務員は基本額に距離による加算がつく
ここは夫が公務員の家に向けた話です。民間の会社員の家は、次の見出しまで読み飛ばして構いません。
国家公務員の単身赴任手当は、法律(一般職の職員の給与に関する法律の第12条の2)で決まっています。月額は、基本額に、夫の住まいから妻の住まいまでの距離に応じた加算を足した額です。加算は距離が長いほど大きくなり、上限もあります。
距離の区分ごとの額は、人事院規則九―八九(単身赴任手当)の表に載っています。e-Gov法令検索で誰でも読めるページなので、金額は下のリンク先の表が確かです。
出典:e-Gov法令検索「人事院規則九―八九(単身赴任手当)」(2026年10月確認)
地方公務員や公立学校の教職員は、勤める自治体の条例と規則で決まります。職場の給与の担当に聞くか、自治体の条例や規則をまとめた例規集で、額と条件を確かめてください。
いつから出て、いつ止まるのか
国家公務員の場合、人事院規則では条件を満たした日の翌月から支給が始まり、条件を欠いた日の月で終わります。民間企業で単身赴任手当が始まる日と止まる日は、規程ごとに違います。7項目の3番で夫に聞いてもらうのが早いでしょう。
赴任先の家賃や家電の支払いは、最初の単身赴任手当より先に来ることがあります。夫の会社の答えが分かるまでは、最初の1か月分を手当なしで回せるよう、貯金から取り分けておくと慌てずに済みます。
手当のほかに、赴任が決まった時点で夫婦で話しておくことは、単身赴任が決まった日に妻が確かめることに並べました。
単身赴任手当の決まり方|支給の条件と税金
この章の答え

条件がこの形になっているのは、会社の都合で単身赴任し、家族と離れて暮らす負担を補うための手当だからです。会社の命令と、家族側のやむを得ない事情がそろって、はじめて対象になります。
支給の条件は会社命令の転勤・やむを得ない別居・単身での生活
国家公務員の条件を例にすると、骨組みは次のとおりです。民間の単身赴任の規程も、この骨組みに沿って読むと分かりやすいはずです。
- 会社の命令による転勤で、住まいを移した
- 家族の事情で、配偶者が一緒に移れない
- 赴任先で一人で暮らしている
人事院規則は、やむを得ない事情として次のような例を挙げています。
- 子どもが学校に通っている
- 配偶者が仕事を続ける
- 持ち家を管理するために住み続ける
- 親や家族を介護している
どれも、単身赴任で妻と子どもが本宅に残る理由としてよく出てくる事情です。
家族で赴任先へ移ったあとに、家族だけが別の場所へ移る場合は扱いが変わります。国家公務員では、赴任から3年以内に、人事院の定める特別な事情で別居した場合に限って対象に含める扱いです。対象外になる例は、5番目の章でまとめました。
手当は給与として課税される(手取りと翌年の住民税)
単身赴任手当は給与の一部なので、所得税と住民税の計算に入ります。額面の手当が、そのまま手取りに加わるわけではありません。
住民税は、前の年の所得をもとに市区町村が決めます。手当で増えた分が表れるのは、手当を受け取った年の翌年度の住民税です。手取りで増えた手当を毎月使い切らず一部を残しておけば、翌年度に天引きが増えても家計を組み直さずに済むでしょう。
健康保険と厚生年金の保険料も、手当を含めた給与の額で決まります。保険料は給与の額を段階に分けて決める仕組みです。手当で段階が上がれば、天引きも増えます。
手取りで何割残るかは、年収や扶養の状況で家ごとに違います。確かめるなら、給与明細を2か月分並べるのが早いです。
手当が入る前の月と、入った月の明細を並べる
夫に頼んで、明細の画面か紙を見せてもらいます。総支給額の差を見る
ここで分かるのは額面の手当です。差引支給額の差を見る
差引支給額は、税金と保険料を引いたあとの手取りの欄です。手取りで増えた額が出ます。
家計の計算には、差引支給額の差を使ってください。
妻の扶養や、住民税がかからない世帯(非課税世帯)にあたるかは、家庭ごとに変わります。扶養は夫の会社の健康保険の担当、非課税世帯は本宅の市区町村の税務課が確かめ先です。
帰省の交通費(帰宅旅費)が非課税になるのは仕事のついでに帰るときだけ
国税庁は、税の扱いを質問と答えの形で示したページ(質疑応答事例)を出しています。そこで非課税とされているのは、会議などの出張のついでに自宅へ帰るときの旅費です。主に仕事の旅行と認められ、旅費の額が非課税の範囲から大きく外れないことも条件です。
出典:国税庁「単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費」(2026年10月確認)
会社が「月に何回分」と決めて出す帰省費は、出張とは関係がないため、給与として課税されます。回数で非課税にする扱いはないと、同じページに書かれています。
帰省費は、給与と一緒に振り込まれることもある費用です。明細のどこに帰省費が載っているか、夫に一度見てもらいましょう。
手当で二重生活の出費はどこまで埋まる?条件別の目安
この章の答え
一部にとどまるのは、単身赴任の別居で増える負担を補う手当で、食費のように一緒に暮らしていてもかかる出費は含まないからです。先に夫婦でこの前提をそろえておくと、「手当があるのに足りない」という言い合いを避けられます。
手当で埋まるもの・会社が持つことが多いもの・家計から出るもの
出費ごとに、お金の出どころを並べました。夫の会社の答えが返ってきたら、この表に金額を書き込んで使えます。
| 出費 | お金の出どころ |
|---|---|
| 引越し費用 | 会社が持つ。どこまで出るかは規程で確かめる |
| 赴任先の家賃 | 社宅や家賃補助があれば会社。自己負担の分は手当で補う |
| 敷金・礼金と家具・家電 | 会社が出すかは規程しだい。出なければ家計 |
| 光熱費・通信費 | 手当で補う |
| 帰省の交通費 | 規程の回数分は会社。超えた分は家計 |
| 夫の食費・日用品 | 手当で一部を補い、残りは家計 |
食費は単身赴任でなくてもかかります。家計の持ち出しになるのは、一人分の外食や自炊が割高になって増えた分です。
家賃補助と帰省費の有無で変わる家計の持ち出し(3つの例)
同じ単身赴任手当の額でも、会社が別に出すものしだいで持ち出しは変わります。
- 社宅と手当、決まった回数の帰省費が出る会社では、家計から出るのは主に夫の食費と日用品です
- 家賃補助が家賃の一部だけで帰省費が出ない会社は、家賃の自己負担と帰省の交通費が毎月の持ち出しになります
- 手当が無く家賃だけ会社が持つ会社では、光熱費と食費、帰省費が家計から出ます
2つ目の会社で一番動くのは、帰省の交通費です。月1回帰るか2回帰るかで、交通費はそのまま倍になります。帰る回数を先に夫婦で決めておくと、毎月の予算が立てやすくなります。
3つ目の会社なら、おすすめは夫の手取りから先に固定費を引き、残りで本宅の家計を組む順番です。
手当で増えた分を夫の生活費と本宅の家計に分ける
単身赴任手当が入ると、夫の手元にいくら残すかで夫婦の考えがずれやすくなります。感覚で決めるより、固定費から決めていくほうが早く話がまとまるでしょう。
手当が入ったあとの手取りを見る
給与明細の差引支給額の欄です。夫の赴任先の固定費を書き出す
家賃の自己負担、光熱費、通信費を並べてもらいます。変わる出費の月の予算を夫婦で決める
食費と日用品、帰省費の上限を1つずつ決めておくと、月末に慌てません。残りを本宅の家計に入れる
毎月の給与日に、決まった額を本宅の口座へ移すと続けやすくなります。
固定費を書き出した紙があると、夫が使える額と本宅に入る額を同じ数字で話し合えるのが利点です。夫に渡す額の決め方と口座の分け方は、単身赴任の生活費の内訳と夫に渡す額の決め方にまとめました。
家計から出る分の代表は夫の食費
食費は月ごとの差が大きい出費です。外食やコンビニが続くと膨らみがちでしょう。抑え方は、夫の自炊、手作りのおかずを冷凍で送る方法、夫の住所に届く宅食の中から選べます。
どれが夫の暮らしに合うかは、夫の単身赴任中の食事を4つの選び方から決める方法で比べられます。
手作りを送ると決めた家は、冷凍便で送るおかずの量と容器の決め方を先に読んでおくと、詰めすぎや容器選びで迷いません。
わが家の手当を確かめる|夫に人事へ聞いてもらう7項目
この章の答え

答えが規程の中にしか無いのは、単身赴任手当を会社ごとに決めているからです。妻が検索を重ねるより、夫が規程を開くほうが早く、わが家の数字にたどり着けます。
就業規則・賃金規程で見る場所
単身赴任手当の決まりは、就業規則の本体とは別の規程に分かれていることがよくあります。名前は会社ごとに違うので、次のような規程を探してもらうと見つかりやすいです。
- 賃金規程(給与規程)
- 転勤規程や赴任規程
- 単身赴任者取扱規程
- 旅費規程(帰省費と赴任旅費)
- 社宅規程や住宅手当の規程
労働基準法第106条は、会社に就業規則を社員へ周知するよう定めています。掲示や書面の交付などで社員が見られるようにしておく決まりです。夫が人事に「単身赴任の規程を見せてほしい」と頼むのは、社員として普通の確認です。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」(2026年10月確認)
人事に聞く7項目(条件・月額・開始時期・家賃補助・帰省費・引越し費用・家族が合流したとき)
夫にそのまま送れる言い回しにしました。LINEに貼って、聞いてほしい順に並べ替えても大丈夫です。
- うちの事情(子どもの学校、持ち家など)で、単身赴任手当の対象になりますか
- 手当の月額はいくらですか。距離や役職で変わりますか
- いつの給与から出ますか。届出の期限はいつですか
- 家賃補助や社宅はありますか。自己負担はいくらですか
- 帰省費は月何回分ですか。実費ですか、定額ですか
- 赴任のときの引越しや家具・家電の費用は、会社が持ちますか
- 家族が赴任先へ移ったときや、帰任(赴任を終えて元の職場に戻ること)のとき、手当はいつ止まり、何を届け出ますか
正直、7つを一度に聞くのは夫も気が重いものです。まずは3番と4番から聞くのがいいでしょう。どちらも赴任前の家計に直接響く項目です。
答えが返ってきたら、前の章の表で「お金の出どころ」をわが家の答えに書き換えます。家計に残った行の合計が、毎月の持ち出しです。
単身赴任手当が出ない・止まる・遅れる原因
この章の答え

会社の都合で家族と離れていることへの支給なので、その前提が崩れると条件から外れるのは当然です。届出が要るのは、会社が別居の状況を本人の申告で確かめるからです。
本人の希望による転勤や、子どもと同居する場合
自分から希望した転勤を、会社の命令による別居として扱わない規程があります。家族で赴任先へ移ったあとに家族だけが別の土地へ移った場合は、扱いが規程ごとに分かれるところでしょう。国家公務員では、赴任から3年以内に人事院の定める特別な事情で別居した場合に限って対象になります。
子どもを連れて赴任すると、子の年齢によっては単身の生活と扱われないことがあります。人事院規則も、対象に含めるのは一定の年齢までの子との同居だけです。子どもと一緒に赴任するときは、子との同居の扱いを夫に規程で見てもらうと確かです。
家族が赴任先へ合流したら届け出る
家族が赴任先で一緒に暮らし始めたら、単身赴任ではなくなり、手当の条件から外れます。人事院規則も、条件の基準はふだん一人で暮らしているかという生活の実態です。
合流の日が決まったら、引っ越す前に夫から人事へ伝えてもらいます。先に届けておけば、受け取りすぎた手当を後から返す手続きは生じません。
住民票を移すかどうかと手当の関係は、単身赴任で住民票を移すかの決め方と、世帯主・扶養・手当の変わり方にまとめました。
届出が遅れると支給の始まりも遅れる
単身赴任手当の支給は、本人の届出が出発点です。国家公務員の規則では、届出が遅れたときは、受け付けた月の翌月からの支給になる定めがあります。
出し忘れのほか、別居を示す書類や赴任先の賃貸契約書の写しが足りないと、手続きが止まります。合流のほか、離婚や再婚で家族の状況が変わったときも届出の対象です。
赴任してから1週間以内に、「単身赴任の届出は出した?」と一度聞いておくと安心です。
よくある質問
妻がパートか専業主婦かで、単身赴任手当の額は変わりますか?
額と条件を決めるのは夫の会社の規程です。妻の働き方を条件に入れているかは会社ごとに違うので、夫に賃金規程か赴任規程の支給条件の欄を見てもらうと分かります。
住民票を移さないと、単身赴任手当は出ませんか?
手当の条件は会社ごとの規程で決まります。国家公務員の規則は、住民票ではなく単身で暮らしているかという実態で条件を書いています。民間では住民票の住所を条件に使う会社もあるので、夫に規程で確かめてもらいます。
家賃補助と単身赴任手当は、両方もらえますか?
手当と家賃補助を別々に定めている会社もあれば、家賃の分を手当に含めている会社もあります。夫の会社の賃金規程と社宅規程で、手当の一覧と赴任先の住まいの扱いを見ると分かります。公務員は職場の給与の担当に聞くのが確かです。
単身赴任手当が出ると、妻の扶養や非課税世帯の判定は変わりますか?
手当は夫の給与に含まれるので、夫の所得として扱われます。妻の扶養や、本宅が住民税のかからない世帯(非課税世帯)にあたるかは家庭ごとに変わります。夫の所得を合わせて見るかも含めて、扶養は夫の会社の健康保険の担当に、非課税世帯は本宅の市区町村の税務課に確かめると分かります。
民間の会社でも、最初の1か月は単身赴任手当が出ないのですか?
翌月から支給が始まるのは国家公務員の決まりで、民間の会社は規程ごとに違います。夫に人事へ「いつの給与から出るか」と「届出の期限」を聞いてもらうと分かります。答えが来るまでは、最初の1か月分を手当なしで回せるよう備えておくと安心です。
夫の会社の手当が少ないと分かったら、どうすればいいですか?
手当の額は会社の規程で決まっています。まずは家賃補助や帰省費、引越し費用など、手当とは別に出るものを使い漏らしていないかを規程で確かめます。それでも足りない分は、まとめの3つの項目で毎月の持ち出しを出し、夫の食費や帰省の回数など変えられる出費で調整します。
まとめ
- 単身赴任手当の額と条件は、夫の会社の規程で決まります
- 手当は課税されるので、家計の計算には差引支給額(手取り)の差を使います
- 帰省費が非課税になるのは、出張のついでに帰る場合の旅費です
- 手当の額だけで比べず、家賃補助や帰省費、社宅を足した合計で見ます
家計から出る額は、次の3つで出せます。
- 手取りで増えた手当(差引支給額の差)
- 会社が持たない赴任先の家賃・光熱費・通信費
- 夫の食費と日用品のうち一人暮らしで増えた分、規程を超える帰省費
2つ目と3つ目の合計から1つ目を引いた額が、毎月の持ち出しです。
赴任前の家は、今週のうちに7項目のうち3番と4番を夫に送り、返ってきた答えで表を書き換えてください。最初の1か月分の生活費は、答えが来る前に貯金から取り分けておくと安心です。赴任後で明細が届いた家は、手当が入る前と後の明細を並べ、差引支給額の差から始めるのがおすすめです。合流や帰任の予定がある家は、日が決まった時点で夫から人事へ伝えてもらいましょう。
出典
- 国税庁「単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費(質疑応答事例)」(2026.10.15確認)
- e-Gov法令検索「一般職の職員の給与に関する法律」(2026.10.15確認)
- e-Gov法令検索「人事院規則九―八九(単身赴任手当)」(2026.10.15確認)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(2026.10.15確認)
更新履歴
- 2026.10.15 公開