単身赴任の準備とお金

夫の単身赴任、住民票は移さなくていい?世帯主・扶養・手当はどうなる移す・移さないの決め方と夫婦の手続き

住民票を移すか決める

先に結論

週末などに本宅へ帰り、家族と家計が本宅にあるなら、夫の住民票は移さなくてかまいません。

  • 住民票を置く場所は、帰る回数ではなく生活の本拠がどこかで決まります
  • 移すなら、転出届と世帯主の届けを同じ日に本宅の役所で出します
  • 移しても扶養や住民税は二重になりません。児童手当は申請し直します

夫の単身赴任が決まり、「住民票ってどうするの?」と聞いても、はっきりした答えが返ってこないことがあります。会社の説明は夫にしか届かず、本宅の世帯主や子どもの手当がどうなるかは、誰も教えてくれません。

単身赴任で住民票を移すかどうかの決め方と、移す場合・移さない場合に夫婦それぞれがやることを、窓口と持ち物まで並べました。法令と制度は2026年10月時点の内容です。

夫の住民票を移すかどうかは「生活の本拠」がどこかで決まる

この章の答え

週末や月に何度か本宅へ帰り、家族と家計が本宅にあるなら、夫の住民票は移さなくてかまいません。赴任先が暮らしの中心になり、戻る時期も決まっていないなら、移すのが原則です。

単身赴任でも本宅のままでよいのは、住民票の住所を暮らしの中心になっている場所に置く決まりだからです。法律の言葉では「生活の本拠」と呼びます。寝る日数だけでなく、家族がどこにいるか、家計をどこで回しているかも合わせて見ます。

出典:e-Gov法令検索「住民基本台帳法」(2026年10月確認)

国が市区町村に示している住民基本台帳の事務処理要領は、住民票を扱う窓口向けの国の手引きです。勤務の都合で家族と離れて住む人の住所は、日常の暮らしや家族との行き来の実情から決めるとしています。平日は赴任先で寝起きしていても、休みの日に家族のもとで過ごす人は、家族の住む家が住所と認められる場合があります。くわしくは住民票のある市区町村のサイトか窓口で確かめてください。

住民基本台帳法は、住所が変わったら届け出るよう定めています。届けないままだと過料(役所が科すお金の制裁で、刑罰の罰金とは別のもの)の対象になります。ただしそれは、赴任先が暮らしの中心になったのに届けない場合の話でしょう。

住民票は、赴任が決まってから片づける準備の1つにすぎません。部屋や手当、食事まで含めた準備の順番は、単身赴任が決まった日に妻が確かめることにまとめました。

わが家の答えが出る3つの質問(帰る頻度・赴任期間・会社の規程)

ここが一番迷うところです。帰る回数が月に何回なら移さなくていい、という数字の線引きは法律にありません。市区町村は、家族がどこにいるか、家計をどこで回しているか、休みの日をどこで過ごすかを合わせて判断します。

夫婦で話すのは、次の3つです。

  • 休みの日は本宅に帰り、家族と過ごすか
  • 赴任期間の見通しがあり、戻る時期が決まっているか
  • 会社の規程で、手当や社宅の条件に住民票の住所が使われているか

1つ目と2つ目が本宅寄りなら、おすすめは移さない選び方です。帰るのが年に数回で、戻る時期も決まっていない家は、移すほうがいいでしょう。3つ目は、夫が人事か総務に聞けばすぐ分かります。

月1回帰る家は、2つ目が決め手です。家族と家計が本宅にあり、戻る時期も決まっているなら、移さない側に入ります。

戻る時期が見えないときは、住民票のある市区町村の住民課(市民課)で、帰る頻度と家族の状況を伝えて聞いてください。最後に住所を認定するのは市区町村なので、窓口の答えに合わせれば、判断を間違える心配もなくなります。

移す場合・移さない場合のやること一覧

移す場合移さない場合
役所の届け赴任前に本宅で転出届、住み始めたら赴任先で転入届(夫)届けは要らない
本宅の世帯主妻を世帯主とする届けを、転出届と同じ日に出す夫のまま
会社住所の変更を届ける(夫)赴任先の住所と、住民票は本宅のままであることを伝える(夫)
役所や税の通知赴任先に届く本宅に届くので、妻が受け取って夫に知らせる
免許とマイナンバーカード赴任先で住所を変える更新は本宅の住所が基準。赴任先でできる方法を確かめる

郵便の転送や通販の届け先は、どちらを選んでも住民票とは別の話です。

移さないと違法になるのでは、と心配する方もいるでしょう。本拠が本宅にあるなら住所は動いていないので、届ける変更そのものがありません。届けが必要になるのは、赴任先が暮らしの中心になったときです。それまでは今のままで大丈夫です。

住民票を移す場合の手順|夫がやること・妻がやること

この章の答え

移す場合は、赴任前に本宅の役所で転出届を出し、赴任先に住み始めたら転入届を出します。本宅に残る家族の世帯主を決める届けは、夫の転出と同じ日に出すと二度手間になりません。
市役所の窓口で、女性が転出届の用紙に記入している

順番が決まっているのは、赴任先の転入届に、本宅の役所で受けた転出の記録が必要だからです。妻が関わるのは、本宅の役所での転出届と世帯主の届けです。赴任先での手続きは夫1人で足ります。

赴任前:本宅の役所で転出届と世帯主変更届を出す

転出届は、引っ越す前に本宅のある市区町村の住民課(市民課)へ出す届けです。夫が平日に行けないときは、委任状を持った妻が代わりに出せます。

夫がマイナンバーカードを持っているなら、マイナポータルから転出届をオンラインで出すほうが早いでしょう。マイナポータルは国が運営する行政手続きのサイトで、スマホからも使えます。

  • 窓口に行く人の本人確認書類(運転免許証など)
  • 夫のマイナンバーカード(持っている場合)
  • 妻が代わりに出すときは、夫が書いた委任状

妻と子どもが残る家は、残る家族の中から新しい世帯主を届け出ます。誰を世帯主にするかが自動では決まらないからです。ふつうは妻です。

妻が1人で残る家は、ほかに世帯主になる人がいないので、届けなくても妻が世帯主として記録されます。わが家で届けが必要かは、転出届の窓口で「本宅の世帯主を妻にしたい」と伝えれば分かり、必要な場合も同じ日に済みます。

赴任先に住み始めたら:転入届とマイナンバーカードの住所変更

転入届は夫本人の手続きで、期限があるのはこの届けです。期限は住民基本台帳法第22条で、転入した日から数えた日数で決まっています。日数は赴任先の市区町村のサイトに載っているので、引っ越し日が決まったら夫と一緒に見ておくと安心です。

持ち物は、本宅で受け取った転出証明書と本人確認書類です。オンラインで転出届を出した人は、転出証明書のかわりにマイナンバーカードを持っていきます。

マイナンバーカードの住所は、転入届と同じ窓口で書き換えてもらえます。カードの暗証番号を求められるので、夫に控えを持たせておくと手間取りません。

同じ市区町村の中で引っ越すなら、届けは転居届1つです。

役所のあとに住所を変えるもの(会社・免許・銀行・保険・車)

ここは夫が自分で進める手続きです。会社への届けは、単身赴任手当や通勤費、年末調整の書類に使われるので、いちばん先に出します。

  • 会社への住所の届け(手当・通勤費・年末調整に使われる)
  • 運転免許証(赴任先の警察署か運転免許センター)
  • 銀行、クレジットカード、携帯電話、生命保険
  • 印鑑登録(転出で消えるので、要るなら赴任先で登録し直す)
  • 車を持っていくなら、車庫証明と任意保険の使用場所の変更

妻が本宅側で確かめることは、このあとの「住民票を移すと本宅で変わること」の章にまとめました。

住民票を移さない場合にやること

この章の答え

移さない場合、役所の届けは必要ありません。そのかわり、役所や免許センターからの通知は本宅に届き、更新や投票も本宅の住所が基準になるので、その受け渡しと代わりの方法を決めておきます。

単身赴任中も住所が本宅のままなので、住民票の住所あての通知はすべて本宅に届きます。困るのは期限のある書類でしょう。

郵便・荷物・食事の送り先を夫の部屋にする

郵便局に転居届を出すと、本宅あての夫の郵便を赴任先へ転送してもらえます。住民票とは別の手続きなので、移さない家でも使えるのが便利です。

ただし、封筒に「転送不要」と印刷された郵便は、転居届を出していても転送されず、本宅に届かずに差出人へ戻る場合があります。役所や金融機関の書類に多い印です。くわしくは日本郵便の案内か差出人に確かめてください。本宅に届いたものは、妻が写真を撮って夫に送る、と決めておけば、期限のある書類を見落としません。

本宅に届くものは、主に次のとおりです。

  • 運転免許の更新のお知らせ
  • マイナンバーカードと電子証明書の更新の通知
  • 選挙の投票所入場券
  • 自動車税の納付書(車検証の住所が本宅の場合)

通販や宅食の届け先は、夫の部屋の住所に登録できます。手作りのおかずを冷凍で送るなら、単身赴任の夫に送る食事の量・容器・冷凍便の出し方が役に立ちます。

送るか自炊か宅食かを決めていない家は、夫の単身赴任中の食事を4つの選び方から決める方法から読むと早いです。

免許・マイナンバーカードの更新と選挙は住民票の住所で(赴任先でできる方法)

運転免許の更新は本宅の住所が基準です。優良運転者などの条件に当てはまれば、住所のある都道府県以外でも更新を申請できる「経由地更新」の仕組みがあります。更新のお知らせが本宅に届いたら写真を夫に送り、赴任先の都道府県警察の案内と照らして対象かを確かめてください。

マイナンバーカードには、オンラインで本人確認をするための電子証明書が入っています。コンビニで住民票の写しを取るときにも、この機能を使います。カードと電子証明書の更新は、住民票のある本宅の市区町村の窓口なので、帰省の日に合わせて窓口を予約しておくのがおすすめです。

選挙も本宅の選挙区です。赴任先にいるときは、本宅の選挙管理委員会に投票用紙を請求し、赴任先の選挙管理委員会で投票する不在者投票が使えます。正直、手順は少し面倒でしょう。それでも請求は郵便などで済むので、選挙が決まった週に動けば十分です。

住民票の写しが急に必要なときは、赴任先のコンビニでも取れます。マイナンバーカードがあれば大丈夫です。本宅の市区町村がコンビニ交付に対応しているかは、市区町村のサイトで先に見ておくと安心です。

住民票を移すと本宅で変わること(つまずきやすい3つ)

この章の答え

移すと本宅の世帯主は妻になりますが、それだけで夫の扶養から外れたり、住民税を二重に払ったりすることはありません。気をつけるのは、児童手当のように住民票の住所で手続き先が決まるものです。
リビングのテーブルで、女性が児童手当の書類と通帳を見比べている

扶養や住民税が変わらないのは、住民票が住所を記録するしくみで、税や手当の決まりはそれぞれ別の基準だからです。連動するものだけを分けて考えると、確かめる窓口が分かりやすくなるでしょう。

住民票を移しても変わらないもの届けや確認が要るもの
税と保険税の扶養(家計が同じなら続く)健康保険の扶養で、別居の書類を求められることがある
税金二重に払うことはない住民税の納め先が、翌年度から赴任先に変わる
子どもと家子どもの医療費助成、住宅ローン控除(家族が住み続けるなら)児童手当(夫が受給者のとき)

世帯主は妻になるが、扶養から外れるわけではない

世帯主は、住所ごとの世帯の代表を示す欄で、扶養とは別物です。税の扶養は、同じ家計で暮らしているか、法律の言葉でいう「生計を一にしている」かで決まります。夫の給料で本宅の家計を回していれば、単身赴任で住民票が分かれても妻や子どもは夫の扶養のままです。ここは心配要りません。

健康保険の扶養も同じ考え方ですが、別居の家族について、仕送りの記録などを求める健康保険組合があります。住民票を分ける前に、夫が会社の健康保険の担当に、出す書類が増えるかを聞いておきましょう。必要と言われたら、生活費を口座振込で渡すようにすると記録が残ります。

本宅が住民税の非課税世帯になるかどうかは、扶養とは別の話です。判定は本宅の市区町村が給付金ごとの決まりで行うので、案内が届いたら税務課で確かめてください。

住民税は1か所に払う(二重にはならない)

住民税は、その年の元日に住所がある市区町村が、1年分をまとめて課税します。2か所から同時に住民税を取られることはありません。

住民票を移した翌年度から、課税するのが赴任先の市区町村になります。給与天引きはそのままです。

ふるさと納税のワンストップ特例は、寄付先に申請書を出して、確定申告をせずに済ませる仕組みです。寄付のときに申請書を出したなら、この特例を使っています。夫の住所が変わったら寄付先の自治体ごとに変更の届けが必要なので、出し方は各自治体のサイトで確かめます。

児童手当・子どもの医療費助成・住宅ローン控除は窓口で確かめる

児童手当を支給するのは、受給者の住所がある市区町村です。受給者はふつう所得の高いほうの親で、通知や振込先の口座の名義を見れば、夫か妻かが分かります。夫が受給者のまま単身赴任先へ転出すると本宅での受給が終わり、赴任先の市区町村で申請し直します。

受け取れない月が出るのは、赴任先での申請が遅れたときです。転出届と同じ日に本宅の児童手当の窓口にも寄り、赴任先での申請の流れを聞いておくと安心です。受給者を妻に変えられるかも、その場で聞いてみるとよいでしょう。

子どもと離れて暮らす親が受け取る形になるので、赴任先では、子どもと別居していることを届ける書類も出します。書類の名前と出し方は、赴任先の市区町村の子育ての担当課で確かめられます。

子どもの医療費助成は、子どもの住所がある市区町村の制度です。子どもの住民票が本宅のままなら、助成を受ける市区町村は変わりません。保育料の計算に夫の所得をどう入れるかや、入園の申し込みでの扱いは、本宅の保育の担当課で聞くのが確かです。

住宅ローン控除は、夫が転勤や単身赴任で住めなくなっても、家族が住み続けていれば受け続けられる扱いが、国税庁の案内に示されています。わが家が当てはまるかは国税庁のサイトの案内で条件を読み、年末調整の書き方は夫の会社に、個別の判断は税務署に聞くと早いでしょう。

家庭の状況別の違い(近距離の赴任・会社に言われた・帰任するとき)

この章の答え

同じ市区町村の中なら転居届1つで済み、会社に移すよう言われたら理由を聞きます。帰任したら、世帯主を夫に戻す届けを出します。
段ボールが並ぶ玄関で、帰ってきた夫と妻が荷物を片づけている

ここまでの手順は、本宅と赴任先が別の市区町村にある場合を前提にしています。状況が違えば、やることも違います。

状況やること
赴任先が同じ市区町村の中転出届と転入届は要らず、転居届1つ。本宅に通える距離なら、移さない選び方もある
会社から移すよう言われた手当や社宅の条件のためか、住民税の手続きのためかを人事に聞く
帰任するとき赴任先で転出届、本宅で転入届。転入届の窓口で夫を世帯主にすると伝える
赴任中に子どもの進学や家の購入がある入学や住宅ローンの手続きで住民票の写しが必要になる時期を、先に確かめる

会社が住民票の住所を求めるのは、単身赴任手当の支給の条件や、住民税を納める先の確認に使うためです。手当の条件に住民票の住所が入っている会社では、移すかどうかで手当の区分が変わるので注意が必要です。夫に赴任規程を見せてもらい、移す場合と移さない場合の手当を人事に聞けば、お金の面でも比べられるでしょう。

単身赴任を終えて帰任するときは、本宅に転入する届けで、夫を世帯主に戻せます。窓口へ行くのは1回だけです。一度妻を世帯主にしても、あとから戻せるので心配は要りません。

よくある質問

単身赴任で住民票を移さないのは違法ですか?

生活の本拠が本宅にあるなら、住所は動いていないので届けは要りません。過料(役所が科すお金の制裁で、刑罰の罰金とは別のもの)の対象になるのは、赴任先が暮らしの中心になったのに届けないままの場合です。迷うときは住民票のある市区町村の住民課で、帰る頻度と家族の状況を伝えて確かめます。

夫が月に1回しか帰らなくても、住民票は移さなくていいですか?

帰る回数だけで決まる線引きは、法律にありません。家族が本宅にいて、家計を本宅で回し、赴任の終わりが見えているなら、本宅を本拠と考える材料になります。帰省が月1回で戻る時期も決まっていないなら、本宅の市区町村の住民課に相談してから決めると安心です。

夫が住民票を移すと、本宅は住民税の非課税世帯になりますか?

判定は給付金ごとの決まりと、妻や子どもが夫の扶養に入っているかで変わります。判定するのは本宅の市区町村です。案内が届いたら税務課に、夫が単身赴任で別に住民票を置いていることを伝えて確かめます。

住民票を移さないと、会社の単身赴任手当は出ませんか?

手当の条件は会社ごとの規程で決まります。住民票の住所を条件にしている会社もあるので、夫に赴任規程を見せてもらい、住民票の扱いが書かれているかを確かめます。

児童手当の受給者を夫から妻に変えれば、申請し直さずに済みますか?

受給者はふつう所得の高いほうの親なので、夫婦の都合だけで変えられるとは限りません。夫が受給者のまま住民票を移すなら、転出届と同じ日に本宅の児童手当の窓口に寄り、受給者を変えられるかと、赴任先での申請の流れを聞いておきます。

まとめ

  • 単身赴任中も休みの日に本宅へ帰り、家族と家計が本宅にあるなら、夫の住民票は移さなくてかまいません
  • 移すなら、転出届と世帯主の届けを同じ日に本宅の役所で出し、赴任先では住み始めてすぐ転入届を出します
  • 移しても扶養や住民税は二重になりません。夫が児童手当の受給者なら、赴任先で申請し直します

今週のうちに、夫と3つの質問を話してみてください。月1回の帰省で戻る時期が見えない家は、本宅の住民課に電話して、帰る頻度と家族の状況を伝えて聞くと決められます。

移すと決めたら、本宅の役所に行く日を先にカレンダーに入れ、同じ日に児童手当の窓口にも寄ると1回で済みます。移さないと決めた家は、郵便局の転居届と、免許の更新時期の確認から始めると漏れがありません。

出典

  1. e-Gov法令検索「住民基本台帳法」(2026.10.15確認)

更新履歴

  1. 2026.10.15 公開